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重力波の観測について

先週末、重力波の観測に成功したというニュースが流れました。専門家では決してありませんが、一般市民より深く理解するべき物理学科の教員として解説(?)したいと思います。(というより、この場で一緒に驚きたく思います。)
まず、「ノーベル賞級の研究成果」という言葉と共に、新聞やニュースで多く取り上げられていることに個人的に嬉しく思います。ニュースの司会者が「理解できませんが・・・」などとコメントを挟みながらも紹介していましたが、難しい話題であっても、ニュースとして取り上げ、知りたい理解したいというニュースを見ている視聴者や新聞を読んでいる読者の人たちの願望が感じられるからです。大学教員として学生に教育する立場であり、また、中学や高校の理科教員を養成する立場から、難しい科学技術や物理現象をしっかり伝えていかなければと再認識しました。

さて、重力波とは何かなど、正確な説明は他のホームページや解説書にお願いすることとして、実験研究者として今回の観測の凄さを紹介したいと思います。一般相対性理論によって、時間と空間が歪み・・・・・・
難しいことは置いといて、物理学的には、重力による力と加速度による力が区別できないという原則から時空間が歪むことが導かれます。そう言うものなんだと、細かなことを理解しようと思わず、空間が歪むという物理現象がアインシュタインによって100年も前から予言されていたことを知って下さい。では、どの程度、空間が歪んでいるのか、原著論文から引用します。

medium
Phys. Rev. Lett. 116, 061102 (2016)
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevLett.116.061102
(大学で契約している雑誌なので、学内からのみアクセスできるかと思っていたのですが、クリエイティブコモンズとして公開していたので、図を貼り付けられました)

上図の波の振動が重力波の波形なのですが、縦軸の strain 10-21という量に注目してほしいと思います。今回の装置が4kmの長さで伸び縮みを観測しているので、実際にどの程度、重力波で空間が歪んだかというと、(小さすぎて、原子の大きさと比較してみます。)

103m(=km) X 10-21 (歪み) / 10-10m(=0.1nm原子の大きさ) = 10-8

原子の大きさの108分の1(1億分の1)です。(もし、オーダー計算が間違っていたら、教えて下さい。)私自身がナノの研究者として10-9mの原子サイズ程度の世界で、極微の世界で研究をしていますが、その原子の大きさの1億分の1の程度で空間が歪んだと言っているのです。はっきり言って、歪んでも、歪んでなくても、どちらでも良いと思いませんか?とにかく、そんな小さな空間の変化を捉えたことが凄いことであって、物凄い実験装置でようやく捉えることができたのだと思います。

そんな空間の歪みを生じた(ほとんど歪んでいませんが)要因は、宇宙の遥か彼方で起きた2つのブラックホールの融合だそうです。そこで起きた大きな重力の変化が、時と空間を超え、非常に薄まっているが、地球に届き、その痕跡を捉えたのです。こんな世界にロマンを感じても、関係ないだろうと思う人も多いと思います。ただ、今回検証されたのは、一般相対性理論ですが、身近なところでも、一般相対性理論の恩恵を受けていることを知って欲しいと思います。
車のカーナビや携帯電話についているGPS。地球の周りを飛んでいる人口衛星の信号を受信して地球上での位置・場所を把握している、そのGPSの原理を知っている人も多いでしょう。しかし、正確な人口衛星の位置を計算するに、相対性理論により時空間が歪んでいる影響を考慮して補正しているから、正確な場所が分かるそうです。そんな身近な存在である相対性理論で予測されていた現象である重力波が最後に観測されたのです。

(受験生・高校生へ)
日本大学文理学部物理学科の宣伝もしておきたく思います。
私自身は、この重力波の研究分野の専門外ですが、学科内には理論宇宙物理学を専門とする教授の先生も居りますのでご安心下さい。先生の部屋の扉には、早速、今回の観測結果を紹介する説明文が張り出してありました。廊下を歩いている学生にも、そんな研究成果に触れて欲しいという先生の意向だと思いますが、当該分野の専門の先生がいることをご紹介しておきます。
また、学生実験のテーマでも、今回の研究に繋がるものがあります。重力波の観測では、レーザー光を使って、長さ(空間)の変化を捉えたのですが、2年の学生実験では、レーザー光を使い、決まった長さ(1m程度)を往復する時間を測定し、光の速さを求める実験をしています。学生実験といえども、最先端の研究に繋がっていることを知って実験をして欲しいと思います。

学生との連絡手段

3年生の研究室への仮配属が決まり(仮配属に関しては、別の機会に説明したいと思います)、配属学生とコンタクトを取っているのですが、コミュニケーション手段について、考えたいと思います。
我々、研究者は、普段から、e-mail を使っているので、そのアドレスを書かせていたのですが、携帯メールを書く学生が非常に多かったです。携帯メールは、メールアドレスでは無いと認識するべきで、長文が送れないだけならマシなのですが、困ったことに、迷惑メールフィルターを設定している学生が多く、大学からのメールアドレスの着信が出来ないケースが非常に目立ちました。メールアドレスを聞くだけでは終わらず、そこで送信テストを実施して、大学からのメールが届くように設定を変更させ、ちょっとした手間でした。
そんな問題点を解決してくれたのが、LINEです。学生同士の連絡に携帯メールで問題無かったのは、本人同士が携帯メールでやり取りするからで、ただ、私自身は携帯電話でメールを打つ気がでません。それが、LINEが普及するようになり、学生同士もLINEで連絡を取り合っているようなので、私もLINEを始めました。これが結構便利で、個人的には、大学の先生には、LINEを勧めたいと思っております。まず、携帯電話でいつでも連絡が取りあえるのはポイントですが、研究室のPCもLINEに繋げているので、細かな連絡はPCのキーボードでメッセージを入力し、LINEで送ります。また、研究室の配属学生が決まったので、メールの場合だとメーリングリストのようなものを作って全員に送信していましたが、LINEではグループ機能があるので、研究室のグループを作ってしまえば、後は、全員への連絡は、そこで、メッセージを流せば終わり。メールで「了解」の一言メールでは味気無い気がしますが、LINEではスタンプ1個送っておれば問題ない。忙しい大学教員のためにあるようなツールな気がします。

さて、そんな理由で始めたLINEですが、スマートフォンが普及することで、学生が記入するメールアドレスも携帯メールがほとんどだったのに、最近では、gmailなどのフリーメールがメインになってきました。受信設定の問題からは解放されたのですが、なぜ、大学のアドレスを使わないのだろうと不思議に思っております。日本大学文理学部では、学生一人一人に在学中に使用できるメールアドレスを提供しており、就活用などに利用することも良いのではと思っております。インターネットの環境であれば、ブラウザで、どこでもメールチェックを行うことができて、
https://webmail.educ.chs.nihon-u.ac.jp
こちらにログインすると、メールの転送先なども設定できます。つまり、就活では、オフィシャルなメールアドレスとして大学のアドレスを指定しており、そこに届いたメールをスマートフォンや普段使いのフリーメールに転送し、企業からのメールにすぐに対応することも簡単に設定可能です。(これからは、情報社会でメールなどのツールをいかに駆使できるかが、ポイントですので、学生時代から鍛えて欲しいと思います。)
ただ、学生のスキルが弱くて大学のメールを使っていないのではなく、登録しているメールアドレスを知らないから使っていないだけなので、ここで、メールアドレスを知る方法を伝えたいと思います。基本的には、メールアドレスは、アルファベット1文字の後に学生証番号が続き、ドメインは、@educ.chs.nihon-u.ac.jpになります。最初のアルファベットは、全くのランダムで設定されていますので、大学内の施設であるインフォメーション・スクウェアを使用するときに表示されるのを見るのが早いようです。肝心のパスワードは、履修登録などで使用しているポータルサイトのCHIPSと同じなので、個々人で把握できていると思います。

日本大学文理学部の学生メールアドレス
メールアドレス: (a~zの1文字)+(学生証番号)@educ.chs.nihon-u.ac.jp
パスワード: CHIPSと同じ

インフォメーション・スクウェアに行かなくてもアルファベット26文字なら総当たりでもログインできますが・・・・

物理学科ホームページ完全リニューアル

十代研究室のウェブページは、細々と更新しているのですが、所属する物理学科のホームページも昨年度リニューアルしたパンフレットの写真をそのまま使用して完全なリニューアルを行ないました。今回は、ホームページを運用するWEBサーバーの立ち上げから始めたので、いろいろ暗中模索で、ようやく公開へとたどり着きました。と言っても、もちろん、格好いいページは、業者に依頼していますので、手作り感満載の研究室ページとは比較できませんが・・・
これから、WEBサーバーの管理も行っていきたいと思っており、大学のコンピュターセンターの要求を満たしていない設定があり、センターの職員とも連絡をとりながら、日々勉強だなぁと感じております。

日本大学文理学部物理学科 新ホームページ www.phys.chs.nihon-u.ac.jp

homepage_top

物理学科パンフレット

パンフット

文理学部は文系から理系まで様々な学科が存在するため、それぞれの学科が独自にイベントを行っていることも多いです。受験生獲得のためのパンフレットも日本大学全体のパンフレット、文理学部全体のパンフレット、そして各学科のパンフレットと3種類存在します。物理学科でも独自のパンフレットを製作しており、今年度のパンフレットから完全リニューアル版を配布しています。ちなみに、下記URLよりダウンロードも可能です。

文理学部デジタルパンフレット

こんな風に、このページで宣伝しているのは、広報委員としてパンフレット製作に携わったからです。業者に丸投げでできるわけでなく、いろいろとコミットする必要がありました。そんな思い入れがあるパンフレットだからです。ただ、既存のパンフレットから大幅なリニューアルを行なおうとすると、賛成・反対、両方の意見が出てきます。もちろん、そんな意見に耳を傾ける必要はありますが、平凡なパンフレットにしないためには、適度に独断的な方向性を打ち出す必要があるのだなぁと感じる出来事でした。

 

日大文理 科学実験・文化フェア

日本大学文理学部では毎年、世田谷区や杉並区の小学生を招いて、科学実験・文化フェアを開催しています。(詳しい案内ページはこちらから
夏休みに入った小学生が(幼稚園児も)数多く来場し、学びを提供する地域貢献プログラムの一つです。今年は、2015年7月18日(土)に行います。もちろん、参加費は無料で参加登録も必要ありませんので、お近くの方(遠く方ももちろん)是非、お越しください。

物理学科では未来の科学者を養成すべく実験イベントを催しています。ワイングラスを音で割るゲームも今年から取り入れる予定ですが、私の研究室では偏光子を使った万華鏡工作ブースを毎年出店しています。紙コップに穴をあけ、そこに偏光フィルムを貼り、片側だけ、セロテープを上から0~3枚程度張り合わせると、万華鏡が完成します。非常に簡単なので、幼稚園児でもできる工作として子供向けイベントとしてはピッタリなので、ここでも紹介しました。(紙コップに穴をあけるときだけカッターを使うので学生さんに予め切ってもらっています。)
具体的な費用は大雑把に12cm角の偏光フィルムが1枚300円程度で、それを16分割して使用します。一人につき2枚使用するので、偏光フィルム代だけで、40円ほど。紙コップ5円が2個を追加しても、一人あたり50円程度の予算で実施可能です。

偏光万華鏡を160人分くらい準備してイベントを迎えているのですが、小学生や幼稚園児を連れてきた保護者の方から、万華鏡の原理(仕組み)を知りたいという声を多く聞きました。セロテープが複屈折材料で偏光子を通って直線偏光になった光はテープで楕円偏光になり、次の偏光子を通過できるようになる。その際の複屈折の波長分散により色が現れる・・・といっても理解して貰えないのは明らかで、そこで、今年は原理をなるべく分かり易くパネルに書いて説明することとしました。そのパネルを下に記します。

偏光万華鏡

 

Raspberry Pi + Qt

Raspberry Piとは教育目的で制作された小型(名刺サイズ)の安価なコンピュータです。CPUとメモリが増大したRaspberry Pi 2 が発売され、これを使って実験装置を制御してみようと考え、現在、取組んでいる最中です。いくつかのハードルがありそうですが、その解決策をメモしていきたいと思います。

SDカードにLinux OSをインストールして動かすのですが、昔、PCクラスタなどを作って計算科学を行っていたので、Linuxは何とかなるかと無謀に挑戦しています。実験装置の制御プログラムをグラフィカルGUIに動かしたいと考え、Qt(キュート)を導入することを思いつきました。ネット情報を検索していると、ほとんどが、Raspberry PiのCPUが貧弱であるため、クロスコンパイルをしてインストールする記事ばかりであるので、折角のPi2となりCPUも強化されたのだから、RaspberryPiのOS上で直接コンパイルすることとしました。参考にした記事は、こちらです。(英語ですが・・・)

Native Build of Qt5 on a Raspberry Pi

こちらの記事に従い、Qtをコンパイルしていたら、途中でエラーとなってしまいました。その理由は、8GBのメモリカードにRaspbianというOSを入れ動かしていたのですが、最新版のQtはコンパイルするのに8GB近くのフリーのディスクスペースを必要とし、8GBのSDカードのみだとコンパイル途中で一杯になってしまっていました。そこで、こちらの記事も参考に
Native Build of Qt 5.4.1 on a Raspberry Pi
USBフラッシュメモリーにコンパイル途中のファイルを保存する作戦に変更しました。

 

Raspbian 2015-05-15 (NOOBS1.4.1から8GB class10のSDカードに) インストール

まずは必要なライブラリーのインストール
startx
sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade
sudo apt-get install libfontconfig1-dev libdbus-1-dev libfreetype6-dev libudev-dev libicu-dev libsqlite3-dev libxslt1-dev libssl-dev libasound2-dev libavcodec-dev libavformat-dev libswscale-dev libgstreamer0.10-dev libgstreamer-plugins-base0.10-dev gstreamer-tools gstreamer0.10-plugins-good gstreamer0.10-plugins-bad libraspberrypi-dev libpulse-dev libx11-dev libglib2.0-dev libcups2-dev freetds-dev libsqlite0-dev libpq-dev libiodbc2-dev libmysqlclient-dev firebird-dev libpng12-dev libjpeg62-dev libgst-dev libxext-dev libxcb1 libxcb1-dev libx11-xcb1 libx11-xcb-dev libxcb-keysyms1 libxcb-keysyms1-dev libxcb-image0 libxcb-image0-dev libxcb-shm0 libxcb-shm0-dev libxcb-icccm4 libxcb-icccm4-dev libxcb-sync0 libxcb-sync0-dev libxcb-render-util0 libxcb-render-util0-dev libxcb-xfixes0-dev libxrender-dev libxcb-shape0-dev libxcb-randr0-dev libxcb-glx0-dev libxi-dev libdrm-dev

空の8GBのUSBフラッシュメモリ(OSをインストールしたSDカードとは別)をUSBに差し込むと自動で認識され、/media/tmpにマウントされました、(USBフラッシュの名前をtmpにしていたので)
cd /media/tmp
sudo mkdir build
sudo chown pi /media/tmp/build
cd
mkdir ~/opt
sudo mount –bind /media/tmp/build ~/opt
これでoptの中で作成したファイルは、外付けのUSBメモリに保存されるようになります。

cd ~/opt
git clone git://code.qt.io/qt/qt5.git
cd qt5
./init-repository
ちょっと時間がかかります。

nano ~/opt/qt5/qtbase/configure
エディッタでconfigureファイルの中を修正する。
# flags for raspberry pi build
# flags for libdbus-1
QT_CFLAGS_DBUS=”-I/usr/include/dbus-1.0/ -I/usr/lib/arm-linux-gnueabihf/dbus-1.0/include/”
QT_LIBS_DBUS=-ldbus-1
# flags for Glib (X11 only)
QT_CFLAGS_GLIB=”-I/usr/include/glib-2.0/ -I/usr/lib/arm-linux-gnueabihf/glib-2.0/include/”
QT_LIBS_GLIB=-lglib-2.0
ここまでリンクの通りに修正できたが、
QT_CFLAGS_PULSEAUDIOがどのように修正してよいか分からず放置(インストールできていない・・・)。
また、QT_CFLAGS_GSTREAMERも見つからなかったので、無視しました。
最後のQT_CFLAGS_FONTCONFIG=-I/usr/include/freetype2/に関しては、しっかりelse文の中を変更しました。

cd ~/opt/qt5
./configure -v -opengl es2 -device linux-rasp-pi-g”+ -device-option CROSS_COMPILE=/usr/bin/ -opensource -confirm-license -optimized-qmake -reduce-exports -release -qt-pcre -make libs -prefix /usr/local/qt5 &> output
ここでも少し時間がかかります。

ここで、メインイベントのコンパイル
make -j 3 &> output_make
Raspberry Pi 2は4core のCPUだけど、-j のオプションは、3並列までにして安定性を重視しています。

コンパイルには時間がかかるだろうと一晩おいていたのだが、4時間ちょっとで終了していた・・・
(大丈夫か??ちゃんとコンパイルできていない気が・・・)

sudo make install &> output_make_install
これでUSBフラッシュメモリーがラズパイ本体のSDカード/uer/loca/qt5の中にインストールされます。
nano ~/.bashrc
設定ファイルにパスを追加します。
export LD_LIBRARY_PATH=/uer/local/qt5/lib/
export PATH=/usr/local/qt5/bin:$PATH
あとは、確認用のプログラムをコピーしておきました。
cp -r /media/tmp/build/qt5/qtbase/examples/opengl/cube ~/

一旦電源を落とし、USBメモリーを抜き、再起動。 .bashrc の設定も有効化されます。
cd ~/cube
qmake
make
./cube

これでマウスで回転できるサイコロが表示できたので、ひとまずは、成功としましょう。ちなみにインストールできたQtのバージョンは、5.5.0でした。

専門家でもないので、いろいろ問題があると思いますが、詳しい方がこのページをご覧になったときに訂正のご連絡を頂けましたらと思います。コンパイル時間があまりに短かったので、何かまずい点がありそうですが、誰かの参考になれればと考え、暫定版として公開します。

音でワイングラスは割れるのか?(3)

前回前々回の記事はこちらから

今回は具体的な音でワイングラスを割る手順を述べます。
偉そうなことを書いても、所詮、非常に安いスピーカー(ホーンドライバー)ですから限界を感じることも多いです。そうぉ~、ワイングラスもちゃんと割れやすいワイングラスを選んであげる必要があります。

IMGP1131

こちらのグラスは、ダイソーで購入したワイングラスです。音が響く、グラスをたたいて音の余韻がもっとも長いグラスを選びました。実は、ここが重要で、音が長く響いているということは、それだけ音のエネルギーを蓄えることができるので、今回の実験にピッタリなグラスといえます。
このグラスだけ特別、音の余韻が続くなぁと思っていたのですが、それもそのはず、ガラスの材質が他とは異なっていました。一般的なガラスは、ソーダガラスと呼ばれるものですが、こちらのワイングラスは、カリクリスタルガラスで出来ています。こんな材質のワイングラスが100円ショップで売っていることが驚きであり、今後のデモンストレーション用に買いだめしました。

ワイングラスが決まったら、次はその共鳴周波数に合うように音を照射します。耳が良い人なら、ワイングラスを叩いて鳴らし、その音と同じ周波数(音の高さ)を出せばよいのですが、音痴な私にもできる方法をとりました。パソコンで共鳴周波数を調べる方法です。

WaveSpectra (フリーソフト)

マイク端子にマイクロフォン(なければイヤホンでも可)を繋ぎ、このソフトを起動。ワイングラスを叩くとその音が周波数のピークの山として表示されます。フーリエ変換のサンプリング数を少し上げて、分解能1Hz程度で測定すると良いと思います。ダイソーのワイングラスは800Hz前後(5%程度の個体差があります)

 

さて、共鳴周波数を決まったので、最後は音を照射する段階です。先ほどの周波数を決定するスペクトルアナライザのプログラムを作成された方が、こちらも重要なファンクションジェネレイターの代わりができるソフトを作成してくれています。

WaveGene (フリーソフト)

このソフトでワイングラスと共鳴する周波数のサイン波を発生させ、イヤホン端子をアンプに接続します。アンプは手元にあった中国製のTA2020-20のICを使ったデジタルアンプを用いました。アンプの出力は、4Ωで25W、8Ωなら10W少し程度でしょうか、ある程度パワーのあるアンプですが、べらぼうにハイパワー(高価)では、ありません。
注意:非常に大きいな音が出るので耳栓をして実験をすること
少し音を出して、グラスの中にストローを入れておくと、共鳴によってグラスが振動するとストローも振動します。その振動を元に共鳴周波数を微調整して、最後は、アンプのボリュームを上げていくと・・・・・

 

音でワイングラスは割れるのか?(2)

前回からの続き

まずホーンドライバーの選択からしたいと思います。

SOUND HOUSE   CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CPD25II

お値段¥1,280-税抜・送料抜き(格安のホーンドライバーです。)このスピーカーならワイングラスが割れなくても良いやと軽い気持ちで購入できる、そんな価格帯です。実際にこのホーンドライバーを軽い気持ちで購入しワイングラスに音を当ててみたのですが、失敗しました。(ワイングラスが割れるには至りませんでした。)研究者たるもの1度2度の失敗にメゲマセン。ホーンドライバーというスピーカーユニットを改造することにしました。

Glass-Resonance

ホーンドライバーの構造として、コイルが付いているダイヤフラムという振動膜があり、コイルに電流を流すことで、永久磁石との間で力が発生し、ダイヤフラムが振動し、その振動が音として空気中に放出されます。高級オーディオの場合は、様々な周波数の音を強弱を含めて再現する必要があり、それを実現するために、様々な工夫や高価なパーツが利用されています。しかし、今回の目的は、ワイングラスの共鳴周波数の音を強力に照射することだけです。高級オーディオとは方向性が180°異なり、単一の音さえ出せばよいのです。そこで、思いついたのが、物理学における共鳴現象を利用することです。高校の物理の教科書にも出ている共鳴管です(ワイングラスを音で割って科学に興味を持たせるだけでなく、物理の計算結果をそのまま実行できる一石二鳥のアイデアです・・・・・・自画自賛?)。
共鳴管では、円筒の管に対して、その長さに応じて決まった周波数の音(音程)が強め合ったり、弱めあったりする現象が観測されます。ビール瓶などに息を吹きかけるとボォ~~という音が鳴ったりするのも共鳴管現象です。高校の物理では、内径と長さが決まった円筒管に対して、共鳴する(強め合う)音の周波数を計算したりします。そこで、なるべく高校物理の計算に近づけるように、つまり、理想的な円筒管になるように改造をしました。音を発生させるダイヤフラムは、直径1インチ(25.4mm)ほどです。円筒管に良い材料はないかと考えていたところ塩ビパイプを利用することにしました。塩ビパイプの規格でVP25というサイズは外径32mm×内径25mm程度なので、ちょうど良い大きさです。塩ビパイプの接続パーツをカットしホーンドライバーの出口部分にエポキシ系接着剤でとりつけ、塩ビパイプを差し込むことで共鳴管を作成しました。音楽を奏でるホーンドライバーであるため様々な音階の音が発生するようにダイヤフラムの前方に円錐状のパーツが取り付けられていましたが、なるべく物理学で計算した周波数が発生するように円錐状のプラスチックパーツをニッパーで取り除きました。
ワイングラスの共鳴周波数は800Hz程度であったので、それに合わせて塩ビ管をカットします。開口端補正も加えて、波長の1/4が共鳴管の長さになればよく、800Hzでは約10cmと計算できました。(ダイヤフラムは振動しますが、ほぼ固定されていると考えてよく、固定端・閉じた側として取扱い、音の出口が開口端となります。)接続パーツとホーンドライバーのダイヤフラムまでの長さを測定し、今回は、6cmの塩ビパイプを差し込めば、全体として10cmの共鳴管になることが分かりました。塩ビパイプの接続継手を利用することで、塩ビパイプの長さを変え、様々な共鳴周波数に対応できるようになります。
この塩ビパイプを使う方法は、自作スピーカーの世界では実はメジャーな方法であったりします。低音を増強するために共鳴管現象を利用するものです。単純に一つの音(単一周波数の音)を増強するためにも利用できるのではと工作したのです。
この改造をもとにワイングラスが割れるようになったのかは、次回に述べたいと思います。

 

音でワイングラスは割れるのか?(1)

文理学部で教職支援センターが開設されてから、中学・高校の先生とお話しする機会が増えました。そして、研究室の学生で相当数が理科の先生として就職していきます。最先端の研究を通して教育をしていくと意気込んでいますが、教員を養成することで、日本人の理科離れに間接的に少しでも貢献できればとも思うようになってきました。そこで、毎夏に世田谷の子供たちを対象に開催される科学実験・文化フェアというイベントにおいて、物理現象を体感してもらえる企画を考えました。
共鳴という現象は非常に重要な物理現象です。例えば、テレビの映像がチャンネルによって切り替えられるのも、アンテナの周波数を共鳴現象で選択しているためであり、電波を使う機器、携帯電話や無線LANなど、すべてにおいて共鳴が使われています。
そんな重要な共鳴現象を体感できる企画として考えたのが、ワイングラスを音で割るというイベントです。原理的には理解できるのですが、どれくらい簡単なことなのか、それとも、かなり難しいことなのか、実際に実施してみようと考えました。ワイングラスは、その形から、上側のワインが入る部分と土台が細い脚(ガラス)で連結されており、ワイングラスの上側の固有振動エネルギーが溜まりやすい構造をしています(専門用語では、Q値が高い構造)。そのため、その振動数に合致する音を照射してあげれば、共鳴現象で音のエネルギーがワイングラスに溜まっていき、最後には、グラスは破壊されると予想されます。果たして、こんなことが可能なのか、まずは、ネットで情報を収集することから始めました。

音でワイングラスを割る(私の工夫) 秋田県立増田高校 小田部 泉 先生
音でワイングラスを割る 新潟県立直江津高校 宮田 佳則 先生 (動画あり)
ワイングラスの共振 (You Tube)

これらの情報から分かったことは、普通のスピーカーでは難しいかもしれない。YouTube の動画などでは、日本語以外に英語で検索などもし、様々な成功例を探索した結果、ホーンドライバーという特殊なスピーカーが必要であり、その値段が高いということも分かりました。私自身は学生時代にオーディオ工作にはまっていた時期があり(スピーカーやアンプを自作していた)、オーディオの世界では高い金額を出せば、よりよい音響環境が作られます。ワイングラスを音で割るのも高いスピーカーに高いアンプを繋げれば、割ることができる、そんな情報でした。
しかし、理科(物理)を体感して貰いために多くの中学・高校の先生方に真似をしてもらいたいので、なるべく安価にできることを目指しました。ただ、ワイングラスを音で割るというと共鳴周波数を探して、その音を当てればよいと簡単に思えますが、一番、肝心なことは、スピーカーが壊れないうちにワイングラスを割らなければ、ならないのです。つまり、スピーカーは音を発生させるために、コイルと電磁石で膜を振動させています。その音を吸収させてワイングラスも振動させます。ワイングラスが割れる前にスピーカーの膜が壊れてしまっては意味がありません。当然、普通に考えて、ワイングラスの場所より、スピーカーの音を発生させる部分の方が、音が大きいでしょうから、相当、丈夫なスピーカーが必要となります。それが、ホーンドライバーという選択だったのでしょう。また、それをドライブするアンプも、スピーカーが壊れるくらいのパワーが入力できるハイスペックなアンプが必要となります。考えただけで、高級オーディオでないと達成できないと感じますが、どのようにして安価な装置で達成するのか、次回以降にまとめていきたいと思います。

 

LiveCD(Linux)

大学院関係の講義メモ

昔、PCクラスタを立ち上げ量子計算を走らせていたことがあります(そのときのページはこちら)。大学院生にレポートとして量子計算を課し、一度、計算を実行させることで、将来そのような機会・必要性が生まれたときに少しでもバリアを下げようと考えました。最近は、フロントエンドも充実し、Windows版なども有償・無償のソフトウェアで数多く勢揃いしているのですが、いざ、教員側がプログラムを指定することを考え始めると、悩んでしまいました。WindowsやMacintoshでは、パスを通さないといけないし、研究で使用しているパソコンに少しでも悪影響を与えるのは、いかがかとも考え、結局、LinuxベースのLiveCDをオリジナルで作成し、そのCDからOSを立ち上げ、計算させることにしました。

startup無償の化学計算プログラムとしてGAMESSを選別し、GAMESSでは、VigyaanCDというLiveCDバージョンもリリースされているのですが、うまく動かなかったので、Puppy Linuxというディストリビューションで一からオリジナルLiveCDを作成しました。

バージョン情報

  •  Puppy Precise 5.7.1JP
  • GamessQ 1.2 (Gamessのジョブを投入するのにGUIが使用できる)
  • wxMacMolPlt 7.5 (計算結果の可視化・インプットファイルも作成可)
  • wxGTK 2.8.12 (wxMacMolPltの動作には必要)

 

個人的には、Puppyというリナックスが秀逸です。Gamess、GamessQ、MacMolPltなどをインストールするために、まず、Puppyに開発環境(Cコンパイラなど)を加え、各種プログラムをソースコードからインストールし、実行を確認した後、その環境を保存する(CDを焼く)とLiveCDが出来上がります。Gamess用のインプット例などのテキストファイルも同時にLiveCD内に作成できるので、レポート課題として配布するには最適なものが完成しました。

各自このLiveCDで計算に慣れて、Linuxをインストールしたり、Windows版でも少しでも計算が速そうなGamess Fireflyを導入したり、経験を積んで貰えればと思います。