PySCFで量子化学計算

大学院の講義で量子力学をシュレディンガー方程式からHartree-Fock-Roothaan方程式まで至る過程を説明しています。講義に対するレポート課題としてGAMESSでの量子化学計算を課していたのですが、GAMESSを実行させるためにLive CDでLinuxを配布したりしていました。ただ、近年のBIOSからUEFIへの移行でLive CDを実行できない学生が大量に発生して困っておりました。そこで、今年から、Google Colabで課題を実行させるように変更したので、紹介します。

Google Colabとは、プログラム言語 Pythonをクラウド上で実行できるオンラインサービスであり、Googleアカウントがあれば、誰でも簡単にPythonを実行することができます。学生にLinuxの実行環境を構築させたり、GAMESSのソフトをインストールさせPATHを適切に設定させたりする必要がないメリットがあります。問題はPythonで量子化学計算を実行できるかという点でした。検索をすると、PySCFという量子化学計算用のライブラリが存在することが判明し、このライブラリを使って計算させることにしました。

Google Colabでの追加ライブラリのインストール

Google ColabにはPySCFなどマニアック過ぎるライブラリーはインストールされていませんので、最初に導入する必要があります。「pip」コマンドが利用できるのですが、「!」をつけて実行する必要があります。

!pip install pyscf

インストールしてしまえば、後は、PySCFのマニュアルとにらめっこしながら、量子化学計算をするだけなのですが、Z-Matrixでの分子構造の入力にも対応しており、まだどんな機能があるのか把握しきれていませんが、イロイロなことが試せそうです。

PySCF実行中

この記事を読んで、気軽に量子化学計算をしようと思った方に、学生に配布しているPDFファイルをダウンロードできるようにしておきます。

PySCFで量子化学計算

記述のミスなどありましたら、ご連絡頂けましたら幸いです。