国際教育プログラム in インドネシア

インドネシアのスラバヤ市(ジャカルタに次ぐ第2の都市)に行ってきました。スラバヤ工科大学(Institut Tecknologi Sepuluh Nopember, ITS)で実施している夏休み中の学生の研修を引率したからです。円安により海外での語学研修の費用が高騰するなか選択肢として優れている点が多くあるので、ここで紹介したいと思います。
プログラムは、芝浦工業大学とスラバヤ工科大学・IHI(株)・スラバヤ市の産官学連携で進められています。IHI(株)やスラバヤ市の抱えている課題に対して、日本人とインドネシア人の学生が共に学び、共に調べて、共に解決策を考えていきます。Global Project based Learning (GPbL)と呼んでいます。基本的に環境問題をテーマとして8月にZoomオンラインでの事前学習会を3回開催し、9月3日に日本を出発し9月12日に帰国する日程で、現地の学生と交流を図るものです。対面プログラムの前半は現地視察として公共施設や工場などの見学をし、後半はグループワークで問題の解決方法を考え、最終プレゼンテーションで発表する流れです。グループは日本人とインドネシア人の5~6人で構成され、コミュニ―ケーションをしっかり育むことができる人数です。
このプログラムに文理学部の学生を送り込めています。芝浦工大が主催するGTIコンソーシアムに日本大学文理学部は加入しており、コンソーシアムを活用してプログラムに参加しています。今年度の参加希望者は多く、本来は他大学の学生に開放する余裕は無かったのですが、毎年、引率教員としてプログラムに参画しているので、文理学部の参加枠を確保して頂きました。芝浦工大の関係者に感謝申し上げます。ありがとうございます。

スラバヤ工科大学でのGPbLプログラムが優れている点を挙げたいと思います。

・最終プレゼンテーションという目標がある
単なる語学学校と大きな違いは、英語の修得を目的としているのではなく、英語はコミュニ―ケーションのツールであり英語を使って最終プレゼンテーションとしてグループ発表を目指しているところです。短期間の詰め込みで語学力が向上するわけがなく、短期留学(10日間など)は、あくまでも現状の語学力の把握と、今後の継続学修のモチベーションとすることが重要です。もちろん、滞在中に単語を調べたり(環境問題の語彙など)することで滞在中も語学のレベルアップはするのかもしれませんが、英語を話す勇気をつけるだけでも十分に参加する価値があると思います。

・インドネシア人(ITS学生)のホスピタリティと積極性
スラバヤに滞在して感じることは、インドネシア人の優しさ(ホスピタリティ)です。一例をあげると、大学内やホテルの前の道で猫を見つけるのですが、人馴れのレベルが日本と段違いです。足元にいた猫を軽く蹴ってしまったこともあったのですが、人馴れのレベルから想像するのに、人間から虐められた経験がないのだろうと想像します。日本だと極一部だと思いますが、猫を追い払ったりする人間が居るので、ここまで人馴れしないのだと感じます。
ITSの学生のホスピタリティも秀逸です。まず、日本人は恥ずかしがり屋が多く仲良くなるのに時間がかかってしまいます。ITS内でプログラムを募集して集まった学生だからかもしれませんが、日本びいきの学生も多く、積極的に話しかけてきます。また、日本人がなかなか話す単語を思い出せないときも辛抱強く待ってくれたり、とにかく、コミュニ―ケーションをとりたいという意欲が高いです。そのため、すぐに友達同士になり、1日のプログラムが終わったらカフェやレストランなどに一緒に繰り出しているみたいです。

・物価
昨今の円安は海外渡航の大きな妨げになっていると感じます。その点、インドネシアだと例えばマクドナルドのセットメニューが400円程度(40,000Rp)だったり、清潔なホテルに手頃な値段で泊まれます。ただ、衛生面ではとにかく水には注意が必要です。今回は幸いにもお腹を壊した学生が、ほとんど出なかったのですが、昨年は、発熱するほどの学生が複数名でて引率教員の出番となってしまいました。

優れていない、というか、デメリットは、インドネシア人の英語訛りくらいです。元々、英語が得意でないので、インドネシア訛りだから聞き取れないのか、英語力がなく聞き取れないのか、不明なクエスチョンマークですが、日本人の英語も訛っているので、人のことは言えないでしょう。ただ、お互いにネイティブスピーカーではないという点は逆にメリットかもしれません。流暢すぎる英語ではないからこそ聞き取ることができたり、こちらの話をゆっくり待ちながら聞いてくれる体制は好ましいかと感じます。

最後にGPbLをITSで実施する大きなメリットを伝えます。ITSの職員です。大学の国際ランキング向上を目指しているようで、優秀な職員を国際課で雇用しています。また、過去にプログラムに参加した学生がボランティアスタッフとしてサポートもしてくれています。そんな方々のおかげでプログラムが順調に進んでいきます。ITSのスタッフの方々には、感謝しても感謝しきれません。Terima kasih (テレマカシ)