前回からの続き
まずホーンドライバーの選択からしたいと思います。
SOUND HOUSE CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CPD25II
お値段¥1,280-税抜・送料抜き(格安のホーンドライバーです。)このスピーカーならワイングラスが割れなくても良いやと軽い気持ちで購入できる、そんな価格帯です。実際にこのホーンドライバーを軽い気持ちで購入しワイングラスに音を当ててみたのですが、失敗しました。(ワイングラスが割れるには至りませんでした。)研究者たるもの1度2度の失敗にメゲマセン。ホーンドライバーというスピーカーユニットを改造することにしました。
ホーンドライバーの構造として、コイルが付いているダイヤフラムという振動膜があり、コイルに電流を流すことで、永久磁石との間で力が発生し、ダイヤフラムが振動し、その振動が音として空気中に放出されます。高級オーディオの場合は、様々な周波数の音を強弱を含めて再現する必要があり、それを実現するために、様々な工夫や高価なパーツが利用されています。しかし、今回の目的は、ワイングラスの共鳴周波数の音を強力に照射することだけです。高級オーディオとは方向性が180°異なり、単一の音さえ出せばよいのです。そこで、思いついたのが、物理学における共鳴現象を利用することです。高校の物理の教科書にも出ている共鳴管です(ワイングラスを音で割って科学に興味を持たせるだけでなく、物理の計算結果をそのまま実行できる一石二鳥のアイデアです・・・・・・自画自賛?)。
共鳴管では、円筒の管に対して、その長さに応じて決まった周波数の音(音程)が強め合ったり、弱めあったりする現象が観測されます。ビール瓶などに息を吹きかけるとボォ~~という音が鳴ったりするのも共鳴管現象です。高校の物理では、内径と長さが決まった円筒管に対して、共鳴する(強め合う)音の周波数を計算したりします。そこで、なるべく高校物理の計算に近づけるように、つまり、理想的な円筒管になるように改造をしました。音を発生させるダイヤフラムは、直径1インチ(25.4mm)ほどです。円筒管に良い材料はないかと考えていたところ塩ビパイプを利用することにしました。塩ビパイプの規格でVP25というサイズは外径32mm×内径25mm程度なので、ちょうど良い大きさです。塩ビパイプの接続パーツをカットしホーンドライバーの出口部分にエポキシ系接着剤でとりつけ、塩ビパイプを差し込むことで共鳴管を作成しました。音楽を奏でるホーンドライバーであるため様々な音階の音が発生するようにダイヤフラムの前方に円錐状のパーツが取り付けられていましたが、なるべく物理学で計算した周波数が発生するように円錐状のプラスチックパーツをニッパーで取り除きました。
ワイングラスの共鳴周波数は800Hz程度であったので、それに合わせて塩ビ管をカットします。開口端補正も加えて、波長の1/4が共鳴管の長さになればよく、800Hzでは約10cmと計算できました。(ダイヤフラムは振動しますが、ほぼ固定されていると考えてよく、固定端・閉じた側として取扱い、音の出口が開口端となります。)接続パーツとホーンドライバーのダイヤフラムまでの長さを測定し、今回は、6cmの塩ビパイプを差し込めば、全体として10cmの共鳴管になることが分かりました。塩ビパイプの接続継手を利用することで、塩ビパイプの長さを変え、様々な共鳴周波数に対応できるようになります。
この塩ビパイプを使う方法は、自作スピーカーの世界では実はメジャーな方法であったりします。低音を増強するために共鳴管現象を利用するものです。単純に一つの音(単一周波数の音)を増強するためにも利用できるのではと工作したのです。
この改造をもとにワイングラスが割れるようになったのかは、次回に述べたいと思います。