日大文理に着任して、はじめて購入した装置が、日本分光(JASCO)の紫外可視吸収分光計のV-670です。はじめに購入するくらい研究に重要な、また、思い入れの強い装置でもあります。
なぜ、紫外可視吸収分光計がナノの研究に重要であるかと申しますと、ナノ物質の色が重要であるからです。例えば、ゴールドの色は誰しもが金色であると思いますが、ナノの大きさになると、つまり、金ナノ粒子の色は、赤色をしています。物質のサイズが変化すると、色などの光学特性・電気伝導性・磁性などが変化します。そこが、ナノ研究の最も面白いところとも言えます。ゴールドがナノ粒子になることで、金色から赤色に変化することを、しっかり測定しようと思うと、紫外可視吸収分光計が必要になってきます。この分光計は、物質がどんな色をしているのか、専門的に言えば、どんな波長の光をどの程度吸収するのかを測定する装置なのです。
JASCOのV-670ですが、紫外可視吸収分光計ですが、その測定波長範囲は、近赤外まで伸びており、190 nmから2600 nmまで分析可能です。エネルギーに換算すると6.5 eVから0.5 eV程度であり、半導体のバンドギャップの測定なども計画しています。