コロナ禍の影響で研究室活動は大きく影響を受けていました(受けています)。このホームページの更新も行う余裕がなく、遠隔講義の教材作り、教材のアップロード、学生からの質問へのフィードバックで前期の時間があっという間に流れてしまいました。
このページの目的として、普段の研究室活動を発信することで、学生が研究室を決める際の参考として、また、高校生やその保護者が大学での研究の雰囲気を感じて貰えればとの思いがあります。大学のオープンキャンパスがオンラインになったりコロナの影響を受けた昨今だからこそ、インターネットでの発信が重要になっているのに、なかなか更新できなかったことを反省しつつ、今回は、研究室の備品の1つを取り上げたいと思います。
NAS(Network Attached Storage)とは、ネットワークにつながったHDD(ハードディスク)のことです。パソコンのバックアップとして、最近は Google DriveやiCloudなどのクラウドへデータを保管することも多いと思いますが、容量の大きいハードディスクへ物理的にバックアップすることもかなりあるでしょう。研究室の実験機器(測定装置)にもパソコンがそれぞえ付属しており、測定したデータのバックアップも当然実施しています。そこで登場するのが、NASであり、研究室内のネットワークに繋がったハードディスクに実験データをどんどん書き込んでバックアップをとっています。ちなみに、どの程度の容量のハードディスクを用意していると思いますが?
答えは、36TB(テラバイト)です。
携帯電話のSSDの容量が32~128GB(ギガバイト)程度でしょう。36TBは、128GBの288倍です。今回、NASの容量が小さくて問題が生じ始めていたので、大きな容量のNASが必要となり36TBに増強しました。携帯電話で写真をとると容量がアップアップしてくると思います。写真より動画を撮影すると激しく容量を食うことも知っているでしょう。この研究室では、ブラウン運動の研究を実施しており、つまり、ミクロな微粒子の動きを動画で撮影し分析・解析しています。従って、実験を行うたびに動画ファイルが増えていき、皆さんの携帯電話と同様にNASの容量がギリギリになってきて、とうとう機種変更したというような感じでしょうか。ただ、扱う動画の数が桁違いなだけなのです。
今回、新しく購入したNASはSynology社(台湾)のDS420jという機種です。この機種にはハードディスクは含まれておらず、自分で好きなハードディスクを買ってきて組み込むことができます。東芝製の12TBのハードディスク4台をNASの中に設置しました。
待てよ、12TB×4台=48TBで、3台の間違いではと考えた勘の鋭い人、間違いではなく、バックアップです。RAID5という規格でハードディスクをフォーマットしたので、1台分安全策をとったことになります。組み込んだハードディスクは4台なのですが、3台分の情報を書き込んで、4台目はパリティーを保存します。すると、4台中どの1台が壊れても、パリティーを含めた情報から壊れたハードディスクの情報が計算できて復活することができるのです。
ハードディスクの話になったので、購入したハードディスクの箱を見ていると、「ヘリウム充填技術採用モデル」と書いてあります。ハードディスクのケースの中をヘリウムで満たし、内部の空気抵抗(?)とかを低減しているのでしょうか。(ヘリウムとは吸い込んで声が高くなる気体です。)ハードディスクの技術進歩もこんなこともしているのだと感心しながら、このような進歩がクラウド技術に繋がっているのだけど、クラウドを使用する人とエンジニアの隔離を感じたNAS新規インストールでした。