アボガドロ定数

日本の年号が今年5月に代わるのと、ほぼ同時期にアボガドロ定数をはじめとする物理定数の定義も変更されます(正確には5月20日に)。化学の授業でも度々登場する重要な科学定数なので、アボガドロ定数について今回は述べたいと思います。
アボガドロ定数の現在の定義は、12gの炭素12(12C)に含まれる原子の数となっており
NA=6.02214・・×1023 [mol-1]
と円周率πや√2のような無理数のように延々と続く数値となっています。それが、今年5月からの定義では
NA=6.02214076×1023 [mol-1]
と、正確に決まった値として定義されます。このように定義が変更される理由は、ブルーバックスの「新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる」などの本を参照して貰えればと思いますが、簡単にいうと、科学技術が進歩して質量の定義である1キログラムの決め方を変えることが出来たのに合わせてアボガドロ定数も定義することが出来たと言えます。
この定義の変更で生活が変化する訳ではありません。これまでの定義では、アボガドロ定数に誤差を持たせていたところ、1モルの質量に誤差を持たせることになっただけです。つまり、炭素12(12C)をアボガドロ定数個集めたときの質量が
旧定義:12g  新定義:12.0000000 g
と変化するだけです。実生活には影響がないと言えます。ただ、理科の先生は、これでは困ります。しっかりとアボガドロ数の定義を説明しなければなりません。そんな注意喚起の意味も込めて今回の記事を書いています。

ステアリン酸単分子膜(中央のビーズがない部分)

ここ毎年、教員免許更新講習の講師を引き受けているのですが、そこでもアボガドロ定数を出しています。原子や分子がいかに小さいものであるか、それを取り扱うためにはアボガドロ定数ほど集めてこないと重さなどが測れないのですが、そんなサイズを実感してもらうために、ステアリン酸の単分子膜を作成しています。米粒より小さいステアリン酸の粉を溶液に溶かし、その1滴を垂らすだけで、数cm2程度の面積をもつ単分子膜が出来上がります。オーダーエスティメーションですが、ステアリン酸の大きさがナノメートル程度だと見積もることが可能だったりします。実際は、正確に面積を求めて、アボガドロ定数を見積もるという講義では続くのですが・・・