いつもの秋のこの時期は学会シーズンで、そんな記事をアップしていたのですが、コロナ禍の今年は学会出張もなく普段とは違う9月を過ごしています。
新型コロナウイルスが蔓延し始めた春口には学会という学会が中止になり、学会参加料を払ったのに学会発表もすることも見ることもできずに要旨集の発行をもって学会は成立しましたという訳の分からない対応だったのが(学会の準備などの費用負担を考えると当然の対応なのですが)、秋の学会シーズンはオンライン討論会と形を変えて開催されました。
私が所属する学会も対面での学会は中止、オンラインでの開催となったものが多く、ただ、分子科学会の討論会は単なるオンライン開催ではありませんでした。
分子科学会は私にとってホームグラウンドと呼ぶべき学会で、学生時代は分子科学若手の会にお世話になり、ポスドクの後の就職先は、分子科学研究所であり、ほぼ欠かさず参加しているのが、分子科学討論会でした。今年の分子科学討論会がコロナの影響で中止になったという連絡が入ってきた頃、学生時代の友人から「学生のためにオンライン討論会を計画しているので手伝って」というメールが届きました。二つ返事でOKを伝えてのですが講義をオンラインで実施する苦労とは別の苦労がそこに待っていました。
分子科学若手の会で知り合った古くからの友人何名かで、後にzoomチームという呼ばれる実行部隊が編成され、まず、オンライン討論会のシステム決定から議論が始まりました。対面での学会に近づける工夫、オンラインならではの工夫、幾度となくオンラインの打ち合わせがもたれ、zoomチームがone teamへと変貌していきました。私自身、前期のオンライン講義への対応でヘトヘトになっている頃は何もできなかったのですが、講義が軌道に乗り始め夏休みに入る頃から、分子科学討論会を盛り上げたい、また、コロナ禍で発表できなくなった学生に研究成果発表の機会を作ってあげたいという気持ちが高まり、おそらくzoomチームのメンバー皆がそんな気持ちとなり9月14日(月)~9月17日(木)のオンライン討論会に向けて頑張っていくようになりました。
私の研究室の大学院生は1名しかおらず、その彼はオンライン討論会で口頭発表デビューをしたのですが(昨年度は分子科学討論会でポスター発表を経験済)、非常に良い経験をつめたのではと感じております。私自身にとっては、もう一度やってくれと頼まれたら即答で断るぐらい大変でしたが、オンラインの画面越しでも旧友との作業にコロナ禍だからこそ普段できない時間共有が行えたと終わった後は良き思い出と感謝しています。