月別アーカイブ: 2015年3月

2014年度卒業式

3月25日 日本大学の卒業式が行われました。彼ら彼女らが入学したのは、2011年、つまり、東日本大震災の直後です。私自身も文理学部に着任したのが、震災直後ですので、あれから4年経ったことになります。短いような長いような4年でしたが、大学院に進まない学生は教育を受ける最後の4年でした。しっかりと成長したのでしょうか。成長したと信じて送り出していきますが、いつでも学び直しの場を提供するのも大学の役割かと思い、いつでも研究室に立ち寄れるように研究室を運営していきたいと思います。

ちなみに新宿にあるドイツビールのお店で卒業祝いをしたのですが、助教として3年間頑張ってくれた畠山さんの送別会も兼ねました。この後、千葉大学にて研究・教育を続けるので、お別れというより、日大での仕事の区切りとお礼の会でしたが、とりあえずは、労をねぎらいたいと思います。

 

音でワイングラスは割れるのか?(2)

前回からの続き

まずホーンドライバーの選択からしたいと思います。

SOUND HOUSE   CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CPD25II

お値段¥1,280-税抜・送料抜き(格安のホーンドライバーです。)このスピーカーならワイングラスが割れなくても良いやと軽い気持ちで購入できる、そんな価格帯です。実際にこのホーンドライバーを軽い気持ちで購入しワイングラスに音を当ててみたのですが、失敗しました。(ワイングラスが割れるには至りませんでした。)研究者たるもの1度2度の失敗にメゲマセン。ホーンドライバーというスピーカーユニットを改造することにしました。

Glass-Resonance

ホーンドライバーの構造として、コイルが付いているダイヤフラムという振動膜があり、コイルに電流を流すことで、永久磁石との間で力が発生し、ダイヤフラムが振動し、その振動が音として空気中に放出されます。高級オーディオの場合は、様々な周波数の音を強弱を含めて再現する必要があり、それを実現するために、様々な工夫や高価なパーツが利用されています。しかし、今回の目的は、ワイングラスの共鳴周波数の音を強力に照射することだけです。高級オーディオとは方向性が180°異なり、単一の音さえ出せばよいのです。そこで、思いついたのが、物理学における共鳴現象を利用することです。高校の物理の教科書にも出ている共鳴管です(ワイングラスを音で割って科学に興味を持たせるだけでなく、物理の計算結果をそのまま実行できる一石二鳥のアイデアです・・・・・・自画自賛?)。
共鳴管では、円筒の管に対して、その長さに応じて決まった周波数の音(音程)が強め合ったり、弱めあったりする現象が観測されます。ビール瓶などに息を吹きかけるとボォ~~という音が鳴ったりするのも共鳴管現象です。高校の物理では、内径と長さが決まった円筒管に対して、共鳴する(強め合う)音の周波数を計算したりします。そこで、なるべく高校物理の計算に近づけるように、つまり、理想的な円筒管になるように改造をしました。音を発生させるダイヤフラムは、直径1インチ(25.4mm)ほどです。円筒管に良い材料はないかと考えていたところ塩ビパイプを利用することにしました。塩ビパイプの規格でVP25というサイズは外径32mm×内径25mm程度なので、ちょうど良い大きさです。塩ビパイプの接続パーツをカットしホーンドライバーの出口部分にエポキシ系接着剤でとりつけ、塩ビパイプを差し込むことで共鳴管を作成しました。音楽を奏でるホーンドライバーであるため様々な音階の音が発生するようにダイヤフラムの前方に円錐状のパーツが取り付けられていましたが、なるべく物理学で計算した周波数が発生するように円錐状のプラスチックパーツをニッパーで取り除きました。
ワイングラスの共鳴周波数は800Hz程度であったので、それに合わせて塩ビ管をカットします。開口端補正も加えて、波長の1/4が共鳴管の長さになればよく、800Hzでは約10cmと計算できました。(ダイヤフラムは振動しますが、ほぼ固定されていると考えてよく、固定端・閉じた側として取扱い、音の出口が開口端となります。)接続パーツとホーンドライバーのダイヤフラムまでの長さを測定し、今回は、6cmの塩ビパイプを差し込めば、全体として10cmの共鳴管になることが分かりました。塩ビパイプの接続継手を利用することで、塩ビパイプの長さを変え、様々な共鳴周波数に対応できるようになります。
この塩ビパイプを使う方法は、自作スピーカーの世界では実はメジャーな方法であったりします。低音を増強するために共鳴管現象を利用するものです。単純に一つの音(単一周波数の音)を増強するためにも利用できるのではと工作したのです。
この改造をもとにワイングラスが割れるようになったのかは、次回に述べたいと思います。

 

音でワイングラスは割れるのか?(1)

文理学部で教職支援センターが開設されてから、中学・高校の先生とお話しする機会が増えました。そして、研究室の学生で相当数が理科の先生として就職していきます。最先端の研究を通して教育をしていくと意気込んでいますが、教員を養成することで、日本人の理科離れに間接的に少しでも貢献できればとも思うようになってきました。そこで、毎夏に世田谷の子供たちを対象に開催される科学実験・文化フェアというイベントにおいて、物理現象を体感してもらえる企画を考えました。
共鳴という現象は非常に重要な物理現象です。例えば、テレビの映像がチャンネルによって切り替えられるのも、アンテナの周波数を共鳴現象で選択しているためであり、電波を使う機器、携帯電話や無線LANなど、すべてにおいて共鳴が使われています。
そんな重要な共鳴現象を体感できる企画として考えたのが、ワイングラスを音で割るというイベントです。原理的には理解できるのですが、どれくらい簡単なことなのか、それとも、かなり難しいことなのか、実際に実施してみようと考えました。ワイングラスは、その形から、上側のワインが入る部分と土台が細い脚(ガラス)で連結されており、ワイングラスの上側の固有振動エネルギーが溜まりやすい構造をしています(専門用語では、Q値が高い構造)。そのため、その振動数に合致する音を照射してあげれば、共鳴現象で音のエネルギーがワイングラスに溜まっていき、最後には、グラスは破壊されると予想されます。果たして、こんなことが可能なのか、まずは、ネットで情報を収集することから始めました。

音でワイングラスを割る(私の工夫) 秋田県立増田高校 小田部 泉 先生
音でワイングラスを割る 新潟県立直江津高校 宮田 佳則 先生 (動画あり)
ワイングラスの共振 (You Tube)

これらの情報から分かったことは、普通のスピーカーでは難しいかもしれない。YouTube の動画などでは、日本語以外に英語で検索などもし、様々な成功例を探索した結果、ホーンドライバーという特殊なスピーカーが必要であり、その値段が高いということも分かりました。私自身は学生時代にオーディオ工作にはまっていた時期があり(スピーカーやアンプを自作していた)、オーディオの世界では高い金額を出せば、よりよい音響環境が作られます。ワイングラスを音で割るのも高いスピーカーに高いアンプを繋げれば、割ることができる、そんな情報でした。
しかし、理科(物理)を体感して貰いために多くの中学・高校の先生方に真似をしてもらいたいので、なるべく安価にできることを目指しました。ただ、ワイングラスを音で割るというと共鳴周波数を探して、その音を当てればよいと簡単に思えますが、一番、肝心なことは、スピーカーが壊れないうちにワイングラスを割らなければ、ならないのです。つまり、スピーカーは音を発生させるために、コイルと電磁石で膜を振動させています。その音を吸収させてワイングラスも振動させます。ワイングラスが割れる前にスピーカーの膜が壊れてしまっては意味がありません。当然、普通に考えて、ワイングラスの場所より、スピーカーの音を発生させる部分の方が、音が大きいでしょうから、相当、丈夫なスピーカーが必要となります。それが、ホーンドライバーという選択だったのでしょう。また、それをドライブするアンプも、スピーカーが壊れるくらいのパワーが入力できるハイスペックなアンプが必要となります。考えただけで、高級オーディオでないと達成できないと感じますが、どのようにして安価な装置で達成するのか、次回以降にまとめていきたいと思います。

 

踊り食い(ラボの引継ぎ)

3月9日(月) 卒業する学生が集まり研究室の大掃除をし、その後、仮配属中の3年生が加わり、恒例の引継ぎ飲み会が行われました。

 

 

研究室のボスである私の悪口を言える機会を設けようと二次会に参加しないように心掛けているのですが、結局、また、学生とお酒をハシゴしてしまいました。二次会で入ったお店では、なんと、シロウオの踊り食いがメニューにあり、堪能してしまいました。

 

 

 

ラマン分光装置

ラマン分光は、1つ前に紹介した赤外分光装置と同じく分子の振動を測定する装置です。では、なぜ、赤外分光器とラマン分光器の両方を研究室で所有しているかといえば、分子の振動の種類により、赤外線で測定できる振動とラマン分光で測定できる振動と違う場合があるためです。特に、炭素材料の評価にラマン分光装置を使用しています。

DSC00053このラマン分光装置は、自作の装置になります。と、言っても、Andor製の小型分光器shamrock163(焦点距離16cm)に光学部品を並べて(光軸調整は大変だけど)測れるようにしただけですが・・・ちなみに、小型分光器は望月研究室から頂いたものです。ペルチェ素子で-60℃程度まで冷却できるCCD検出器が付いており、測定した分光情報を解析するプログラムは、Visual C++で書きました。

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